荒井 稔
この度、横浜KōWA Hills(旧称:宏和ハイツ)のリノベーション(改修)に耐震補強設計としてかかわらせていただき、改めて既存の建物の再利用の重要性と必要性を痛感いたしました。
建築構造設計として40年以上設計をしてきた者として非常に思っていることは、実に多くの建物を建ててきたという思いです。その膨大なストックに対する責任はやはり感じております。何とかリノベーションで再生できる建物は再生してゆかねばならないと思います。造っては壊す今の日本のままでは、社会資本の蓄積が脆弱であり、一生働いて家のローンを返す人生の人が大半であり、文化の発展する余地も少ないと思います。特に住宅が必要な今の若い世代にはリノベーションによる良好な住環境を少しでも安く提供していく必要を感じます。大地震が近づく近ずくなかでも、古い壁式構造の建物は耐震的にも十分な性能があり、これらの建物の改修がとても有効だと思っております。
資本の論理からすれば、手間のかかるリノベーションは建築業界では敬遠されてしまいますが、不動産関係の方、内装デザイナーの方、建築設計の方、その他興味のある方たちと今後も建物再生にかかわれたらと思います。
最後に築43年の3LDKの古いマンションを、事務所にリノベーションした例(我が事務所)を参考になればと思い添付いたします。
株式会社アルテック
【現場統括責任者・監理技術者】執行役員 営業本部長 岡田 敏央
【現場代理人】課長 中村 千佳子
耐震補強工事、共用部設備工事
私達が今回の宏和ハイツプロジェクトに携わるきっかけは、2020年頃に担当変更によるご挨拶の際、過去の物件のお話をしている時に2016年の築50年時に実施させていただいた外装大規模修繕工事の話になり、耐震診断や耐震補強の話になったのが始まりでした。その後話は進み、今回は内装をスケルトンにすることから、築100年を目指した耐震補強工事と共用部の設備の更新工事を担当させて頂くことになりました。
新築時の図面がある程度揃っていたものの、実際に施工が始まってみると図面と現地が異なっていることや当時の施工精度の問題もあり、当然のことながら現地に合わせての施工となりました。耐震補強工事では、横浜市の「あん震マーク」を取得する為に、既存の建物に対し、原則として設計図通りの施工を要求された点と、階高の低さから有効な空間を確保するために設備配管等を現在の基準に合わせながらギリギリを求められたこと等が、現場として苦労しました。
本プロジェクトを通じ、将来的には定期的な外装修繕等は必要になるものの、ライフライン(上下水道、電気、ガス、通信)が陳腐化しなければ、RC造の建物は築100年を目指すことが十分可能です。現在、築100年を目指す団地も増えており、長期修繕計画においても、以前は築60年程度までとしていましたが、計画年数は長期化している傾向ですので、このような時代を先取りしたプロジェクトに携わらせていただき光栄です。
株式会社イケ建築事務
代表取締役 池谷 透
旧宏和ハイツは、築50年を超える建築物。竣工当時、建物の寿命は適切なメンテナンス(防水改修工事、外壁からの漏水防ぐためのシーリング材改修、美観性向上の再塗装等)を行う事で延命する事が出来た。しかも、50年前の文化住宅様式は、現在では広いLDKに最新の器具、資材を使った豊かな生活様式へと変化した。
建物の寿命決定づけたのは、1995年の阪神・淡路大震災。震度7を超える地震後、耐震性を高め、居住者が避難出来るようにする事が、新たに建築物に求められた。この様に集合住宅に求められるものは大きく変化した。
オーナーは、旧宏和ハイツを、コスト先行のプレハブ建築に建替えはせず、耐震化工事を行った上で、室内も現行のニーズに応えたリノベイションを行い、横浜KōWA Hillsとして甦らせた。
横浜KōWA Hillsは、スクラップ&ビルドは避け、持続可能な集合住宅のモデルケースとなる事を期待します。
株式会社 神奈川建築事務所
代表取締役 鈴木 興
株式会社コムズアルファ
ホームメイトFC横浜西口店
代表取締役 智原 春男
